社会医療法人 寿会 富永病院

社会医療法人 寿会
富永病院

臨床検査科

臨床検査科
Clinical Laboratory

臨床検査科とは

臨床検査とは、患者さんの体が今どのような状態なのかを色々な機械を使ってしらべて医師に提供している科になります。

臨床検査には大きく分けて2つあり、患者さんからとられた血液や髄液、尿や便などをしらべる検体検査と、身体に流れているごくわずかな信号をとりだし(心電図・脳波等)それを波形として表したり、超音波エコーを利用して身体の臓器の状態を画像にする生理機能検査があります。

当検査室は主に、患者さんと接して行う生理機能検査を中心に担っています。
また、輸血の管理業務や外来での採血業務(看護部と協力して)も担当しています。

スタッフ紹介

国家資格である臨床検査技師の有資格者14名と受付クラーク1名が所属しています。

専門性を高めるために各種学会へ所属し、認定資格修得に向けて積極的に学会に参加して技術と知識の向上に努めています。

  • 資格
  • 超音波検査士
  • 循環器領域  3名  
    消化器領域 1名  
    血管領域 3名
  • 脳神経超音波検査士
  • 6名
  • 所属学会
  • 大阪府臨床検査技師学会
  • 日本脳神経超音波学会
  • 日本臨床検査技師学会
  • 日本心エコー図学会
  • 日本臨床神経生理学会
  • 日本超音波医学会
  • 日本超音波検査学会
  • 神経生理研究会

生理機能検査室理念

患者第一とし、安定した質の高い検査技術で医療貢献する

生理機能検査室

循環器検査
超音波検査
神経生理検査
その他の検査

循環器検査

血液には全身の臓器の活動をささえるいろいろな働きがあります。身体には心臓と全身にその血液を送る血管(動脈)、全身から心臓に血液を戻す血管(静脈)および肺の血管(肺動脈)があり、その血管に関係した病気を調べる検査のことをいいます。検査には心臓そのものの動きをみるものや、心臓のリズムをみるものなどいろいろあります。

心電図検査(ECG)

脈の乱れを感じる、動悸(どうき)・息切れ・めまいや胸の痛みがあるとき、術前検査として、また薬の副作用がないかの確認などいろいろな場合に検査します。

検査内容
心臓は手足の筋肉とちがって特別な筋肉(特殊筋肉)にきめられた道を通って弱い電流が流れていき、そこからリズミカルに心臓が収縮していきます。心電図検査は心臓に流れる電流をひろって、脈のみだれや心筋に酸素が十分にいっていない状態でないかを調べます。
所要時間
5~10分
検査でわかること
不整脈(規則正しく脈を打っているか)・虚血(狭心症や心筋梗塞)の有無、心筋に余分な電流の道筋ができていないかなどがわかります。
注意事項
胸と両手首、両足首の肌をすぐにだせる様な服装でおこしください。食事制限は特にありません。
ECG装置
ECG装置
心電図
心電図

負荷心電図検査(運動・薬物)

狭心症などの虚血疾患や息切れやめまい等の症状は心臓に負荷がかかると現れます。このように症状があるにも関わらず、一般的な安静時心電図検査では「正常」と出してしまう方を対象に、わざと負荷(運動・薬物)をかけてその状態をつくり検査します。
また、薬の効き目を確認する場合でも行います。

検査内容
心電図と血圧を測定しながら自転車をこいだり、薬物の負荷をかけて負荷 (運動・薬物)中の心電図と血圧の変化をみます。
所要時間
30~40分
検査でわかること
心臓の重要血管である冠動脈の異常(細くなるなど)によって引き起こされる狭心症等をみつける事ができます。
注意事項
当院にて検査着に着替えていただきますので、着替えやすい服装でお越しください。食事制限は特にありません。

ホルター心電図検査

動悸(どうき)、息切れ、めまい、失神、胸が痛いなどの症状がある場合に検査をします。また一般的な心電図では記録時間が短すぎて、上記のような症状があるにも関わらず心電図では「正常」とでてしまう時も検査の対象となります。

検査内容
携帯用の心電図記録装置をからだにつけ、24時間休まず心電図を記録するものです。(別に約2週間まで装着・記録できるものもあります)
所要時間(装置時間)
10~20分
検査でわかること
長時間心電図を記録する事によって、日常生活での脈拍数の変化・不整脈や狭心症等の有無がわかります。
特に不整脈に関しては長時間記録する事により、不整脈の種類や予後、薬のききめを確認することができます。
注意事項
胸全体に電極をつけますので、胸がみえやすい服装でお越しください。当日は入浴不可となります。

ABI検査

糖尿病や高血圧症、高脂血症の方や喫煙している方などが検査の対象です。
また、心疾患のある方や歩いたときに足の痛みやしびれ、普段から足先が冷たく感じる方も検査をする場合があります。

検査内容
手と足の血圧を測定し、その比を計算する事によって血管の硬さやつまり具合をみます。その結果から動脈硬化の状態や血管年齢を推測する事ができます。
所要時間
5~10分
検査でわかること
動脈硬化の程度を正確にしらべる事によって、その方の病気の評価や、今後の脳卒中や心臓病などの発症の予測にも役立ちます。
注意事項
手と足に血圧測定時のカフスを巻きますが、乳がんの手術をされている方で、一部手術側の腕の血圧測定が禁忌の場合がありますので、該当する方は主治医へのご確認をよろしくお願いいたします。
ABI装置
ABI装置
ABI検査結果
検査結果

超音波検査

人の耳ではきこえないほどの高い周波数の音を超音波といいます。
超音波は臓器や組織のさかいで反射する性質があります。この性質を利用して、超音波をあてて反射してくる音を受信し画像にすることで、対象物の内部の状態を観察することができます。

この検査に利用する超音波は人体に無害で放射線被ばくの心配もなく安全です。
超音波は個体や液体で伝わりやすく、気体は伝わりにくい性質をもちます。よって肝臓や血管などのように、内部が個体か液体のものの描出には優れていますが、肺や消化官などのように内部に気体(空気や腸管ガス)を含む臓器の描出はわるくなります。

心エコー検査

心不全や弁膜症の状態を把握する時に検査を行います。また不整脈・息切れやめまい・高血圧症の人の心臓の肥大の確認、動脈硬化の確認、血液検査で異常があるなどの場合に行います。

検査内容
超音波を心臓にあて、そこから跳ね返ってくる信号をつかって、心臓の動きや大きさ、心臓内の部屋ごとにある弁の動きをみます。
所要時間
20~30分
検査でわかること
心臓の動きや大きさ、弁の状態を見ることによって、心不全の状態や弁膜症の状態を見ることができます。
注意事項
ベッドに横になっていただき超音波ゼリーを心臓付近にぬり、プローブをあてながら検査をします。ゼリーは少し冷たいです。食事制限は特にありません。

血管エコー検査

頸部血管エコーの場合、脳血管障害(脳梗塞など)のある方、血液検査で異常のある方(コレステロールや血糖値が高いなど)、高血圧症や糖尿病の方、その他の検査で動脈硬化が指摘された場合にも行います。
下肢エコーは歩行時の足の痛みやしびれの原因(閉塞性動脈硬化症の有無)、脳梗塞・足のだるさ、むくみの原因(深部静脈血栓や静脈瘤の有無)を見つけるために行います。

検査内容
超音波を首や足などにあて、頸部血管や下肢血管など身体の動脈や静脈の血管内の状態を見ることができます。
所要時間
15~40分
検査でわかること
頸部血管エコーや下肢血管エコーなど、身体の静脈や動脈の血管を色々な方向から見ることによって、血管の太さや走行、血流の状態、血管壁の状態(硬さや血栓の有無、血管内側の詰まり具合)を見つける事ができます。
注意事項
ベッドに横になっていただき、超音波ゼリーを対象部位にぬり、プローブをあてながら検査をします。ゼリーは少し冷たいです。食事制限は特にありません。

腹部エコー検査

各臓器に関係する(該当する)血液検査や尿検査の異常や、症状(痛みなど)の訴えがある場合に検査を行います。

検査内容
超音波を各臓器(肝臓・胆のう・脾臓・腎臓・膵臓など)にあて、各臓器の病変の有無をしらべます。
所要時間
20~30分
検査でわかること
腹部臓器(肝臓・腎臓・胆のう・膵臓)・泌尿器(膀胱・前立腺など)・婦人科系(子宮・卵巣など)に腫瘍やポリープ、嚢胞などがあると正常組織と異常組織に差がある為、異なった映り方になります。画面上では正常組織と異常組織の間に差が生じるため見え方がかわり、異常病変を見つけやすくなります。
注意事項
ベッドに横になっていただき、超音波ゼリーを対象部位にぬり、プローブをあてながら検査をします。ゼリーは少し冷たいです。検査の約6時間前からは食事を控えていただきます(お水などはのんでも大丈夫です)。
膀胱や前立腺・子宮などの下腹部の観察には尿がたまっている状態が最適ですので、検査前の排尿は控えてください。

その他(甲状腺・体表等)エコー検査

甲状腺の場合、ひどいのどのかわき、急な体重減少、疲労感、心悸亢進、のどの脹れなどの症状や、血液検査で異常があった場合に検査します。
体表の場合、股関節の手術時、場合によりますが術前術後の筋力の変化をみる場合に検査をします。

検査内容
超音波を甲状腺・その他の体表などにあて病変の有無や内部の状態などをみます。
所要時間
10~20分
検査でわかること
甲状腺は首の前ののどぼとけの下にある小さな臓器で、甲状腺ホルモンという身体に大切なホルモンを出しています。超音波をつかって甲状腺の大きさや内部を観察して異常病変がないかをしらべます。体表(臀部)は、整形外科での股関節に関係する臀部の筋肉の状態をしらべます。
注意事項
ベッドに横になっていただき、超音波ゼリーを対象部位にぬり、プローブをあてながら検査をします。ゼリーは少し冷たいです。食事制限はありません。臀部のエコーの場合は専用の検査用パンツに着替えていただきます。
エコー装置
エコー装置
エコー画像1
エコー画像2
エコー画像2

神経生理検査

当院の専門分野である脳を中心にみる検査であり、全身の神経や筋肉が活動する際にはとても弱い電流が発生します。この電流を身体に取りつけた電極で(電気現象として)とらえることによって、神経障害をみつける検査です。脳波・誘発筋電図(神経伝導検査・F波・反復刺激検査・筋電図)・誘発電位(体性感覚誘発電位・視覚誘発電位・聴覚誘発電位)等の各種検査を行うことで診断や病態の解明・障害の評価を行います。

脳波検査

けいれんや意識障害が見られるとき、症状にはでない軽い意識障害を見つけるとき、てんかんが疑われるときなどに検査されます。脳腫瘍の診断にも有用です。

検査内容
頭皮に電極をつけて脳の神経細胞が発する微弱な電気を大きくして記録し、てんかん・頭部外傷・脳腫瘍・脳血管障害の有無を調べます。
所要時間
30分~1時間(検査内容により変わります)
検査でわかること
CTやMRIなどの画像検査のみではえられない、脳のはたらき具合をリアルタイムで調べることができます。覚醒・睡眠の状態、脳の機能障害の有無やその程度・範囲などがわかります。正常な波形がでているかどうか?左右差はないか?異常な波形はでていないか?などを判定します。
注意事項
頭皮に電極をつけて検査をしますので、整髪料などはつけずにご来院ください
EEG装置
EEG装置
EEG検査結果
EEG検査結果

脳誘発電位検査(体性感覚・視覚・聴覚誘発電位)

四肢のしびれや脱力がある場合や視野や聴力に問題があるなど、末梢神経障害の有無・程度が判定したい場合に行います。

検査内容
光(視覚刺激)・音(聴覚刺激)・体性感覚(触覚刺激)などの外的刺激に対する反応として中枢神経に生じる(誘発される)電位(電気活動)を、頭皮上につけた電極を介して波形に表す検査です。
所要時間
30分~1時間
検査でわかること
体性感覚誘発電位(SEP):皮膚が感じた熱さや圧力などの情報が脳の体性感覚領域に達するまでの時間や興奮の大きさを調べます。問題の場所が末端(感覚神経)、途中(脊髄・脳幹)、終点(大脳皮質)のどこにあるのかを調べます。
視覚誘発電位(VEP):目からとらえた光の情報が大脳の視覚領野に達するまでの経路をたどり、どの部分に問題があるのかをしらべます。
聴覚誘発電位(ABR):耳から入る音の刺激が大脳皮質に達するまでの経路をたどり、どの部分に問題があるのかをしらべます。
上記各種検査を行い、診断・治療に役立てます。
注意事項
頭皮に電極をつけて検査をしますので、整髪料などは付けずにご来院ください。

誘発筋電図検査(神経伝導検査・筋電図・F波・反復刺激検査)

神経伝導検査:手足のしびれ、運動まひ、筋力が低下したと思われる場合に行います。
針筋電図:筋力の低下が認められた時、筋肉の疾患か末梢神経の疾患かを鑑別したりする場合に行います。

検査内容
身体を動かす筋肉が興奮する際に発生する活動電位を記録することによって、動けと命令する神経に問題があるのか、命令に従う筋肉に問題があるのかを調べます。検査には何種類かあります。
所要時間
30分~1時間
検査でわかること
神経伝導検査:手や足の神経(末梢神経)の機能を調べる検査です。手足の神経に弱い電気で刺激をし、その刺激の伝わる速さをみます。
針筋電図:筋肉に細い針を刺して力をいれたりぬいたりして、その筋肉に動けという命令を伝える神経に問題があるのか、命令に従う筋肉自体に問題があるのかなどの鑑別、また障害の部位や程度をしらべます。
注意事項
検査部位(腕や足)が出しやすい服装でお越しください。食事制限はありません。電気での刺激や針を刺したりするため、多少の痛みや不快感をともないます。
誘発筋電図装置
誘発筋電図装置
誘発筋電図装置検査結果

睡眠検査(PSG)(終夜睡眠ポリグラフ検査)

眠っている間にいびきをかく・息が止まるなどの症状があり、それに伴い起床時の頭痛・倦怠感・口のかわき・日中に強い眠気を感じる場合に行います。

検査内容
身体中にたくさんの電極をつけて、睡眠中の身体の状態を記録する検査で、基本一泊入院をして検査を実施します。
入院せずに出来る簡易検査もあります。
所要時間(装置時間)
約30分
検査でわかること
脳波・眼球の動きなどを測定することで、睡眠の深さ(睡眠段階)や内容、睡眠中の呼吸やいびき、動きの様子、中途覚醒の有無などを検査し診断します。
注意事項
身体中にたくさんのセンサー類(電極)をつけて一晩寝ていただきます。痛みを伴うものではありません。

その他の検査

当院では、そのほかに脳外科疾患に関係する検査、また手術や検診等で必要な検査を下記のように実施しております。

検査項目
内容
肺機能検査
肺の状態を把握するため、肺がどのくらいの量の空気を吸い込めるか、どのくらいの速さで吐き出す事ができるかを調べる検査です。
息切れ・呼吸が苦しい・咳・痰などで肺の病気が考えられるとき、また術前検査としても実施します。
鼻をクリップで閉じてマウスピースをくわえて、口だけで呼吸をしてもらって検査を行います。
聴力検査
オージオメーターという装置から発する音を聞いて、音の大きさや高低等きこえる範囲を調べる検査です。
平衡機能検査
(重心動揺計)
めまいの診断の為に行う検査で、身体の揺れを直接見る検査になります。重心動揺計の上で眼を開けた状態と閉じた状態で立って、それぞれの動揺の具合を記録し、そのパターンや開眼閉眼の差を計測します。主に頭の中枢神経系の機能の検査です。
平衡機能検査
(眼振検査)
めまいの診断の為に行う検査で、眼振検査はめまいの時に見られる眼の不規則な動きである眼振を調べる検査です。主に三半規管の検査です。
視野検査
視野とは、まっすぐ前方を見ている時に上下左右前方どの位の範囲が見えるかを調べる検査です。
視神経の障害や腫瘍などがあるなどの眼疾患では、片方の眼が障害されたり左右の眼の障害の程度が違ったりします。よって、左右別々に検査をして異常があるかどうかをしらべる検査です。
眼底カメラ検査
眼底(眼の奥)は身体の中で唯一血管や神経細胞層を直接観察できる場所です。眼底の血管の状態は脳の血管と似た状態を示し、高血圧や動脈硬化の進行度・眼球の病気・脳腫瘍・糖尿病などの発見の手がかりになります。

※めまいについての追記
めまいは身体の平衡バランスをとる部位(内耳の前庭や小脳)の障害により感じられるもので原因により末梢性と中枢性に分けられます。
末梢性めまいは回転性(ぐるぐる回る)・発作性・反復性で、メニエール病や突発性難聴、内耳炎、頭位性変換性めまいなど内耳の変化で起こります。
中枢性めまいは非回転性(ふらふらする)・持続性で、小脳の変化、頭部外傷、脳出血、脳梗塞、脳腫瘍などで起こります。

視野計装置
視野計装置
視野計装置検査結果

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